うなぎの世界

世界に18種あるウナギ

世界に18種あるウナギ

 戦後の我が国は食習慣の変化にともない魚放れがおきているが、ことウナギに関しては、国内生産量、外国からの輸入量を見ても、日本人にとって人気のある魚の一つである。その人気を集めているウナギも生態的に見ると、解明できない神秘的な謎の部分が多い魚である。

 地球上に生息している魚は、約2万種あるとされ、その魚類を大別すると、最も早く地球上に出現した、アゴやアバラ骨のない円口類(メクラウナギ・ヤツメウナギ)と、骨組みが軟骨だけで形成される軟骨魚類(サメ・エイ)硬骨の骨組みをもつ硬骨魚類(タイ・コイ)があり、ウナギは硬骨魚類に属している。

 ウナギは、アナアゴ、ハモ、ウツボの近縁で、これらの仲間を無足類という。

 ウナギ科にはウナギ属Anguillaしかなく、世界に18種類が知られ、日本には、普通のウナギAnguillaJaponicaとオオウナギ(カニクイ)Anguillamarmorataの2種がいる。

 世界の分布では、太平洋、インド洋、大西洋に広く生息しており、北はノルウエー北部から、南はニュージランド南方まで分布している。

世界における鰻の分布図(松井)

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ウナギの分類

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 これらのウナギは,背鰭基部と肛門との距離の全長に対する割合によって、長鰭型と短鰭型の2つのタイプにわけることができる日本の鰻は長髭型である。
また、脊椎骨数(背骨)の数が重要な資料となり、分類することができる。その数は110~119であり、その範囲内で、種類により異なり、同じ種類でも生息0緯度によって違ってくる。一般に熱帯地方に分布する種類は少なく、温帯に分布する種類は多い傾向があり、日本のウナギは112~119でいちばん多い。

 また、ウナギのほかに、アナゴやハモにおいても、頭の形で2つのタイプに分けることができる。

 頭の形が、丸くて、幅が広い感じのする広頭型と、とがって狭く、長く見える狭頭型とがある。

 これは、頭の形から判断するよりも、眼から前端のいわゆる吻の形にとるもので、前者の口唇が太くて厚いのに比べ、後者は薄くて細い。

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ウナギの仲間と無縁のウナギ型の魚たち

 ウナギは硬骨魚類に属することは前述したが、近縁種はハモ、アナゴ、ウツボなどがある。しかし、体型が紡錘状をしたウナギ型の魚を、何々ウナギという名称をつけていることがある。
本来のウナギとは無縁であるが、これらのものについて紹介してみる。

■ヌタウナギ

 一見ウナギのようであるが、円口類に属する。眼が皮下に埋まっていて、外からは見えず、鰓孔が左右各側に6個あり、左側6番目の鰓孔は、他のものより約2倍の大きさである。口の周辺に8本のヒゲがあり、背鰭はない。水深数mの浅海に生息し、夜間活動がさかんで、漁網にかかった魚を襲ったり、多量の粘液で網を害するので、漁師には嫌われている。初夏に産卵し、初夏が美味で、干物にして食する。

■メクラウナギ

 円口類に属し、外から見える鰓孔は、各側に1個で、体の前方1/3よりわずか前にある。この特徴が他と区別できる点である。口のまわりに、ヒゲが4~6本あり、眼は退化して皮下に埋もれて外からは、見えない。釣り針にかかった魚の肉に穴をあけて食べたりするので、延縄業者には嫌われものである。

■ヤツメウナギ

 円口類に属し、ふつうカワヤツメとスナヤツメが知られている。

 眼の後方に、左右各7個の鰓孔があるため、一見して8個の眼があるように見えるのでヤツメと呼ばれたらしい。代表的なカワヤツメは40~50cmの大きさで、ビタミンAの含有量は最高とされ、夜盲症の薬として有名である。親魚は春から夏にかけて、河川の上流で産卵し、まもなく死ぬ。稚魚は海に下って生活する。

■スナヤツメ

 カワヤツメと似ているが、小型であり、陸封型で海に下らず、一生を河川の砂または、砂泥底で過ごす。幼期に、カワヤツメと同じアンモシーテスと呼ばれる変態期を経るが満1ヶ年で成体となり、数年かかるカワヤツメとは異なる点である。

■タウナギ

 鱗がまったくなく、鰭に棘条がないのが特徴で、体色は黄褐色で、これに暗褐色や黒ごま粒状の小斑点がある。中国には非常に多く産し、賞味されるが、ウナギはあまり食べない。日本には少なく、きわめてまれである。

■エアブナウナギ

 魚類ではなく、ウミヘビで爬虫類に属し、薩南諸島の永良部島の近海が生息の中心地である。性質はおとなしく、噛みつくこともなく無害である。鹿児島辺では、粉末にして梅毒や淋疾の特効薬として珍重しているという。

■トゲウナギ

 台湾以南のマレー、インドに分布し、背鰭の磨げ棘が発達して尾、尻鰭はくっついて、ひとつになっている。

 分類上では別系統でも同じような環境で同じような生活をするものには、外見上よく似た特徴が現れれる。ウナギでは微妙なウロコが皮膚に埋もれているが、大部分の種類にはまったくない。その代わり、濃い粘液が皮膚の保護をする。これは、水底の砂泥にもぐる習性に適したもので、タウナギやヌタウナギにもよく似ている。

 この類の魚は、尾の力が強くて、ウナギなどは、狭いスキ間を尾先で、さぐって逃げ出したり、砂泥にもぐるときも、やはり尾を使う。しかし、砂泥には素早くもぐるウナギ型の魚も泳ぐスピードとなると話しは別で、こと泳ぎに関してはウナギ型は超鈍足で流線形のメカジキは時速100Kmは出る。ウナギは時速4Kmほどである。そんな泳ぎの下手なウナギが産卵のために大洋の深層まで長旅をする。

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